理事長所信

「立国は私なり」(福沢諭吉)

立国は公が担うものではなく、我々一人ひとり(民)が担うものである。

我々一人ひとりが、他力依存ではなく、俺が、私がやるという気概で、この国、この地域を支えていかなければならない。これは第35代アメリカ合衆国大統領J・F・ケネディの大統領就任演説での「たいまつの炎は引き継がれた、国家が諸君のために何をしてくれるかを問うのではなく、諸君が国家のために何が出来るのかを問おう」という演説にも同じような言葉がある。今、激流の変化にあるこの世の中において、私達那覇JCが、この住み暮らす那覇のまち、地域の未来のために
、何が、どこまで出来るのかを今一度問いたい。

「JCとの出会い」

第58回全国会員大会那覇大会が開催された翌年の2010年、私は那覇青年会議所に入会した。ある方との出会いからの入会であった。当時29歳の私は社会の問題、政治の問題、ましてや住み暮らすこの地域の問題にも興味は薄く、自身の従事する業界の事だけに興味を向け、その他はまだ若いのだからしょうがない、歳を取るにつれ知っていくだろうと唯々、世の中の流れに身を任せ惰性で生きている、そんな時の出会であった。「29歳はもうおじさんだな、しっかりしないとマズいだろう」ある集まりで初めて会ったその人に投げかけられた言葉に頭を殴られたような衝撃を覚えた。とにかく訳も分からずではあったものの、その方に紹介して頂いて入会した那覇JCは、輝きを放っていた。全国的な大会を成功裏に収めた自信というのか、出会う方々の言葉には重みがあり、背中を追っかけても届かないような、心から尊敬する先輩たちに憧れた。そんな歳も離れてない同世代の会員達が、本気でまちづくりや政治を語っているのを目のあたりにし、自身の世界の小ささや狭量に焦りが募った。
「もう時間はない、この組織で自らの器を大きくし磨こう。」
そう決心した。組織の門を叩いてから7年、中々参加が叶わなかった時期もありはしたが、沖縄地区協議会や沖縄ブロック協議会、日本JCへの出向なども経験させて頂き、多くの仲間も得ることが出来、自分の業界以外の事を多く学べる機会も頂けた、何より以前は考えられなかったが、地域の未来、地域が抱える課題はもとより、政治や社会の問題についても真剣に考えるようになった。おそらく青年会議所との出会いが無ければ、先輩たち、仲間たちとの出会いが無ければ、私は未だ小さな枠の中で、その事にすら気づかず、惰性で生きていたのかも知れない。この組織に出会えた事に感謝するのと同時に、この組織の可能性を広げたいと思うようになってきた。いつの世も時代を切り開いてきたのが青年であるのならば、今一度、私たち那覇JCが、この混沌とする世の中で、住み暮らす地域のために、失敗を恐れず果敢に、何がどこまで出来るか追求していきたい。

「組織の魅力とは(会員拡大・育成)」

兎にも角にも会員拡大である。全国的には会員数が減少するなかにあって、近年、那覇JCも多くの会員が卒業を迎え、会員数は年々減少の状態が続き、更に去年2016年度は20名近い会員が卒業を迎えた。特に、長年に渡って那覇JCの輝かしい活動を支えてきた経験豊かな会員が多く抜けることで、2009年の全国会員大会那覇大会を経験した会員が一桁となり、私も含め、全国規模の主管事業を経験したことの無い会員が殆どの組織となる。同時に2016年度入会の新入会員も含め入会歴3年未満の会員が半数以上を占める組織となる。今まさに新たな組織体制を構築する中で、次代の那覇JCを担う会員の拡大、そしてリーダーの育成が求められてくる。組織の魅力とはなんだろうか?どんな崇高な理念を掲げた組織だとしても、それを説く組織の人材に魅力が無ければ人は集まらない。事実、私自身、JCのことを何も知らず、只この組織の門を叩いたのはある方がこの組織に居たからである。
「何をやっている組織か以上に、誰がいる組織なのか?」
その「誰か」を今後多く輩出させる組織にするためにも2017年度は会員拡大・育成の会議体を構築し、新たな組織拡大・育成改革の一年としたい。組織の拡大に必要なことは、組織の魅力を増すことであり、組織の魅力とはつまり「人」である。5年後・10年後の那覇JCを担う「人」を一人でも多く募り、育成し、魅力ある真の人財「JAYCEE」の集団とするためにも、新入会員オリエンテーションの充実や、会員育成強化のための年間を通した勉強会の開催、会議体の特性を活かした、組織全般に関われるような新入会員の新たな経験手法を見出す一年としたい。

「時代の変化に対応した組織基盤の構築」

私たちが積極的に青年会議所運動を展開していくにあたり、不可欠となるのが洗練された組織運営であり、同時に会員からの貴重な会費財源を預かる以上、財務状況の透明性や開示性、コンプライアンスの遵守徹底に臨まなれければならない。長い歴史と伝統の中で、これまで以上の次代の変化、スピードに対応するためにも、今まで当たり前にあったものを改めて見直し、取捨選択し、定款諸規定等を見直す機会と捉え、更に進化を遂げた、次代の変化に対応した堅固な組織基盤を構築する必要がある。

「地域と共にある那覇JC」

私たち那覇JCが所在を置き、活動を行う県都那覇市。約32万人の市民を擁するこの中核都市に100名余りの組織である那覇JCが出来ることは何だろうか?地域が抱える課題や声に耳を傾け、行政などに提言していく事は勿論だが、そもそも地域の本音を引き出せる組織としての活動は出来ているのだろうか、いま一度、足元を見つめ直し、地域のコミュニティに必要とされる存在になるために、地域の方たちとの活動の繋がりを強くする必要を感じる。過去に起きた阪神大震災時などにも地域のコミュニティの存在や常日頃からのまちづくり活動の取り組みがあったからこそ、地域の人々の助け合いが生まれ、復興のまちづくりのエネルギーとなった。日本は古来より助け合いの精神が豊かな国であったはずだ。私たちが住み暮らす那覇のまちはどうだろうか?那覇市が掲げる地域まちづくり方針とベクトルを合わせ、その上でJCとして私たちが出来る事を模索し、地方創生が掲げられる昨今だからこそ、地域の商店街や防犯協会などの様々な団体・組織との連携による事業活動を行い、地域の課題に向き合い、地域とともにある那覇JCであることを改めて再確認し、発信したい。また、同じ地域で活動する志を同じくする他の諸団体とも積極的な意見交換を行い、時にはお互いの事業などでも手を取り合い、共に地域のために貢献する、切磋琢磨し合いながらも組織として相互の意識向上となる機会を創出したい。地域のコミュニティと活動を共にすることで、那覇JCの必要性を感じて頂き、那覇JCであれば私たちの声を広く世に発信してもらえる、そう思ってもらえる存在でありたい。

「地域経済の課題に向き合う」

現政権が方針として掲げる地方創生、観光が顕著に伸び続け、少子化が進む日本経済の中にあって、高い出生率を維持し、人口自然増が続き経済活動が活発な沖縄、そして県都那覇市。しかし、その沖縄も2025年頃を目途に人口は減少に推移すると予想され、多額の一括交付金や、戦後から続く沖縄特別措置法による手厚い支援政策を受けながらも、県民所得は未だ全国最低水準を辿る。その原因はどこにあるのか、小さな島国であり、自然災害が例年続く沖縄特有の一次産業・二次産業の産業構造の問題なのか、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや那覇空港第2滑走路の完成、MICE施設の完成、MRO(航空整備事業)の拠点移転など、様々な経済発展要件が続くことで、本土の大資本や外資の進出計画が数々発表され、これまで以上の競走の激化が予想される中で、これまで地域に根差し、長年営みを行っていた地元の経済人にとっても、変革の時を余儀なくされているのかも知れない。加えて、全国的にも地方の過疎化は歯止めが掛からず、経済の中心が都市化する喫緊の課題に対しても行動を起こしていかなければならない。正に、今こそ国や行政に対して、何をしてもらうかという依存型思考では無く、私たちに何が出来るか、そういった自立的、能動的な思考にたった活発な議論を踏まえ、地域経済が抱える課題に対して、次代を担う責任世代である私たち青年が主体となって行動していく必要がある。沖縄・那覇市の真の地方創生に向けた第一歩となる自立型経済への意識喚起となるような機会を創出したい。

「国際都市『NAHA』への可能性」

近年、観光客数の最多記録を更新し続ける沖縄。特に海外から訪れるインバウンドの伸び率は眼を見張るものがあり、那覇空港・那覇国際空港を擁する那覇市にも連日多くのインバウンド観光客の姿を目にする。今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催や、那覇空港第二滑走路完成に伴い多くのインバウンドが今まで以上に来られることは必至であり、受け入れ側の沖縄県としてもインバウンド対応の人材育成が急務である。また、日本全体の国土面積1%にも満たない沖縄だが、広くアジアへ目を向けてみれば、沖縄を中心として半径3千キロ以内に約20億人、4千キロ以内に30億人がマーケットとして存在しており、アジアのゲートウェイとして、今後沖縄がアジアの中心経済圏になる可能性は十分考えられる。この沖縄において、世界で通用する多くの国際人を育成し、日本経済を牽引する橋頭保としての役割をこの沖縄が担うべきであると考える。国際社会で活躍できる人材の育成に向け、私達が出来ることは何なのか?私たち那覇JCは香港北区JC、台北四海JCと姉妹締結を結び、長きに渡り、児童交流事業などを通して友情を育んできた。特に今年は国際児童交流事業25週年の年にあたり、私たち那覇JCが受け入れ側となり、多くの児童や台湾・香港のJCメンバーが来沖する。これまでの手法をただ辿るのではなく、国際交流という意識の壁を乗り越え、将来、世界に飛び出す青少年育成の目的達成のための機会を創出し、更に、現状のアジア各地の青年経済人たちとの闊達な意見交換を通し、先人たちが築いてこられた国境を超えた青年同士の絆を更に昇華できるような事業を開催したい。今後国際社会で活躍できる、それぞれの国際都市としての人材育成をテーマとした国際交流・青少年育成事業を開催していくのと同時に、国際都市として成長できる可能性を秘めた沖縄であるからこそ、沖縄県全体の意識喚起へつながるような、世界的な主要会議(JCI国際アカデミー)を将来的に開催できるかどうかの誘致検討部会を立ち上げ、国際都市「NAHA」への可能性の追求と実現に向けての足掛かりの一年としたい。

「那覇JCの伝統を紡ぐ」

私たち那覇JCは、国家青年会議所(NOM)の時代を経て、今日まで数多の先人たちの「英知と勇気と情熱」により、この住み暮らす那覇のまちを「明るい豊かな社会」実現に向け、運動を続けてきた。崇高な理念を持ち、地域に貢献してきた、先人たちの運動の炎を絶やしてはいけない。不易流行の言葉通り、先人たちが紡いできたこの崇高な運動の理念を変えないためにも、私たちは変わり続けなければいけない。那覇JCの運動の炎は引き継がれた、この青年会議所という組織活動を通して住み暮らすこの地域に何がどこまで出来るか。今、会員一人ひとりの覚悟が試される時が訪れている。失敗出来るということが若者・青年の特権という側面があるのであれば、何事も恐れず、ただひたむきに、愚直に、地域に対しての運動に取り組んでいきたい。混沌とした先行きの見えない、変化著しいこの時代だからこそ、私たちは持ちうる力を結集させ、今の時代に「挑戦」し、これまでの先人が繋いできたように、新たな次代を私たちの手で「創造」しなければならない。組織の魅力とは、強さとは、トップ自身の姿でもあるだろう。本年度一年間、全会員の先頭に立ち、那覇JCのプライドを背負って、この組織の可能性を追求していき、那覇JCの新たな伝統を紡いでいきたい。