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理事長所信

2018年度理事長所信

有恒 〜変化を恐れぬ挑戦者たれ〜 第56代理事長 宮城匡

-はじめに-

1980年ボクシングの元世界ライトフライ級王者の具志堅用高が日本記録となる13戦連続防衛を果たし、本土復帰間もない沖縄の県民に勇気と希望をもたらした年に私は生まれました。社会の賑やかさとは異なりお世辞にも裕福と言えない家庭環境であった事もあり、将来に対して夢や希望を抱く事よりも一日一日をどうにかやり過ごす事が優先される幼少期でした。時を経て、県内の大学を卒業し本土へ就職するも忙しさにかまけて精神的な根をどこにもはらずにただ漫然と過ごす日々に言われぬ恐怖感を感じ、何かを求める様に28歳の春に郷里へ帰ることを決意しました。特段の意図をもって帰郷した訳ではなかった事もあり、これまでと同じく自分に向き合う事もなく日々の仕事をこなすだけの日々が過ぎ、結局は帰郷する前の心に何も持たない状況と全く変わらない生活がありました。
そんな折、尊敬する先輩から誘われ青年会議所の門を叩きました。入会当初は、赤の他人のために身銭と時間を費やす事に対し理解する事ができなかったが、様々な事業に参加しているうちに社会活動を通じた活動がいかに社会の利益になり、ひいては自己の成長になる事かを知る事ができました。また、そこで活躍する諸先輩は今や政治や経済の一線で活躍するだけでなく、自身も心の底から自信にあふれた人生を過ごす姿を見て強い衝撃を受けました。自分よりも一回りも二回りも偉大な先輩を見て、彼らと肩を並べられるくらいの大きな器を持った人間になろう、と今まで感じた事のない動機を抱くと共に自身の根っこである郷土にどこまで貢献できるかを追求していきたいと考えます。

-組織の存続、運動の広がり(会員拡大)-

会員拡大は組織の存続という側面だけでなく、組織だって社会問題に取り組む我が団体の成り立ち・意義を維持するためにも重要な事であります。これまでの会員拡大は主に在籍会員の近しい人間関係によってなされてきました。しかし、減少する会員数の中でこの手法のみで会員を拡大する事は極めて困難であると考えます。
県内には約63,000の企業があり、那覇市だけでも約17,000の企業が存在します。この全ての企業は常に後継者をどの様に育てるかを切実に考えていることは容易に想像ができます。このニーズに応える事ができる青年会議所としては、持っている人財育成機能をより社会へ供給するべきであります。
「JC って何?」「青年会議所ってどんな活動をしているの?」JC 関係者以外の方と話をしていると必ず頂く質問です。青年経済人の育成という社会的需要に対応する機能も持ちながらも活動状況の認知度が低い現状に正面から取り組み、様々な媒体を利用する事で那覇青年会議所の存在意義を社会に広く知らしめ、入会希望者を多く募る手法を構築します。組織の趣旨に賛同して頂けるメンバーを増やし、地域のリーダーとして活躍できる人財を育成する事で、活動の効果を最大限に広げて参ります。

-改めて組織の意義を見つめなおす-

社会活動を行う他団体が増えていくなか、誰からのしがらみもなく自らの手のみで運営し本質論を力強く世の中に発信していく事ができるのは青年会議所しか無いと自負します。この重要な前提の基に同年代の青年経済人と力を合わせて行動する事が会員の資質向上につながり、これと対をなし、社会を変革させる事への第一歩を踏み出す事ができます。この事を理解した上で活動・運動を行う事により、本質的な社会の変革を効率的に行う事ができます。
那覇 JC で活動・運動をする事で会員自身のどの様な能力開発につながるか具体的に会員へ明示し、同時に活動・運動を通してどの様な社会の変革の可能性につながるかについて深く知るための定例会を開催し、全会員と共に本旨を全うします。

-組織基盤の再構築-

情報技術の発展、取り巻く社会の状況、人の価値観の転換、世の中は加速度的に変化しています。そんな中、その大きな目的を達成するためには洗練され、時代に適合した組織運営を基にした運動を行う必要があります。連綿と受け継がれてきた那覇青年会議所の意思を確認するプロセスを経つつ、時代に適合した運営手法・規則・財政を検証し、変わらないために変わる事ができる組織基盤を再構築します。

-本質を見極め、真の意味で問題を解決する-

時代や地域によって社会が抱える問題は異なります。
「問題を解決する技術・行動力」は JC の活動・運動に積極的に参加する事で容易に身に付ける事ができます。しかし、その行動の前提となる「そこにある問題の本質を見極め、抽出する」事は容易ではありません。「問題点の本質を見極め、抽出する」事ができ、「問題を解決する技術・行動力」を持っているリーダーがいるコミュニティはどんな困難も解決できます。‘与えられた宿題’をただ消化する‘作業’はかなり近い将来機械や人工知能にとって代わられる事になります。自ら課題を見出す事のできる人財が次代の社会を担います。
目の前にある問題やその本質を見極め、50余年絶えず未来を見据え運動を行ってきた我々が議論を行い、社会問題に一石を投じる政策提言事業を開催します。

-那覇市との関り-

自治権を持つ地方自治体は、当然に社会の抱える問題を定性的、定量的に把握しています。明るい豊かな社会を目指す那覇 JC としては地域の課題を的確に捉えるために地域の課題に最前線で取り組んでいる那覇市と関係を密にする必要があります。那覇市議会議員や行政職員との意見交換会を数次に行い、開催する様々な事業の効果を最大限に発揮する基盤を構築します。

-創設60周年事業に向けて-

卒業制度の仕組みから年々在籍歴の長い会員が卒業し、過去の状況を伝える人が減っていく中、OB と繋がりの強い現役会員が未だ幾らか残る本年の段階で2019年に執り行われる60周年事業の準備を行う必要があります。移り変わる時代の中で決して失ってはならない価値観の再確認を行い、連綿と受け継がれる縦の繋がりを紡ぎながらもこれからの時代を見据えた発展的な運動ができる様後続に繋げます。

-東アジアの主要都市の中心に位置する沖縄-

那覇を中心に1,500km 半径(空路4時間圏内)の円を描くと台北、上海、香港、マニラ、ソウル、東京が包含される地理的条件が整うここ沖縄。近年の海外航空路線の拡大、2020年に運用開始を予定している那覇空港第二滑走路の整備、増加の基調にある外国人観光客数からここ数年で加速度的に国際都市として発展する可能性が整いつつある状況にあります。好調なアジアの経済成長という外的要因によって観光関連産業がにわかに賑う現状はあるものの、多くの来訪者を受入れる環境としてインフラ整備、人材の育成不足という面で多くのリスクも抱えている現状もあります。また、観光都市としての地位を確立するために的確にニーズを捉えることができる市民の国際感覚の醸成が急務となっています。那覇 JC は20年以上にわたる香港北区 JC、台湾四海 JC との交流を通じてこの課題に対する具体的方策を見出す事のできる土壌を持っています。一朝一夕には解決しないこの問題であればこそこの20年以上の流れを次代に紡いでいき、本当の意味での国際都市那覇の構築に向けて行動して参ります。

-日本青年会議所との繋がり-

県内には10青年会議所が存在し、350名の会員が所属しています。那覇青年会議所としては那覇市民益を最優先に捉えつつも、その目的を全うするべく県都として全県の会員と手を取り合い、ひいては那覇 JC 会員の利益に貢献します。沖縄地区協議会・沖縄ブロック協議会とも積極的に交流をはかり出向者を輩出する事で那覇 JC に活力を与えます。特に、人財育成・拡大についてはそのツールや手法を日本青年会議所と共有し、那覇 JC の存在意義を全県へ知らしめる事で大きな展開を作っていきます。全県的に俯瞰した視野を持つ事でより大きく、きめ細やかな市民益に応える団体を目指します。

-地域の代表を決する-

2018年12月、我が街の代表を決定する那覇市長選挙・沖縄県知事選挙が予定されております。しかし、投票行動が政治に参加する唯一の機会ではありません。民意を正しく反映した成熟した民主主義をつくるためには市民の代表者たる首長立候補者に対し、その代弁させる民意を伝え、呼応させる状態を醸成する必要があります。2018年、数多くの選挙が開催され我々の地域が大きく変わるターニングポイントになる事は間違いありません。地域の問題を解決するという目的を達成するために市民が政治へ参加する事の重要性を説く事業を開催致します。

-しなやかな発想と力強い行動力-

社会は常に不規則に移ろいます。先の解散に伴う国政選挙、当然に予測する事のできない自然災害、均衡を保たない東アジア情勢。我々を取り巻く環境は一つのきっかけで大きく変わる可能性をはらんでいます。社会の変革者を目指す那覇青年会議所メンバーはその目的を全うするために常に柔軟に発想し、行動してきます。

-最後に-

「人は全て自主独立すべきものである。自立の精神は人への思いやりと共に人生の根本を成すものである。」
日本の武士であり、官僚、実業家でもあった渋沢栄一の言葉である。幸福な社会とは、適切な量の社会公共性と適切な量の個人の自立性との高度なバランスによって作られるものであります。その数奇な歴史を辿ったが故に特殊な県民感覚を持ち、政治や経済の分野においても他県とは異なる事情を持つ沖縄において、幸福な社会の実現には物心共に真に自立した市民が増えることが重要な事であります。地域に育まれ、地域に支えられている我々がそこに存在する問題を我が事と捉え当事者意識を持って正面から解決に向けて行動する事でしか未来を切り開く事はできません。
私自身が育てられ、現在に至っても生活の全ての側面において支えられている、言わば私そのものでもあるこの地域の問題にどこまで取り組む事ができるのか今一度問い、行動していきます。